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2009/11/30

【CD聴くべ】ベートーヴェン&ブリテン「ヴァイオリン協奏曲」(ヤンセン盤)

Jansenbeethoven






・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
・ブリテン:ヴァイオリン協奏曲 作品15
 ジャニーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン)
 ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(ベートーヴェン)
 ロンドン交響楽団(ブリテン)
 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
 録音時期:2009年7月18-19日(ブリテン)、7月30日&8月2日(ベートーヴェン)
 録音場所:ロンドン、アビー・ロード・スタジオ(ブリテン)、ハンブルク、フリードリッヒ・エーベルト・ハレ(ベートーヴェン)
 http://www.hmv.co.jp/product/detail/3675748

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、以前はクソ詰まらん曲だと思っていたんですが、この曲の魅力は旋律美だよ、という類いのことを友人のヴァイオリン奏者に言われて以来、なんとなく開眼。以前は旋律美って視点がすぽっと抜けてたんですなあたくし。

そういう経緯で好きになったからか、ひとつのフレーズに一弓入魂しちゃうような演奏や、ブロック単位で山場を作っちゃうような演奏だといまいち乗りきれず。集中力途切れちゃうんですよねー。

そこいくと、このヤンセンのソロは理想的なもののひとつ。スーッと横に流れて、尚且つ入りも終わりもフレーズや音が崩れない、素晴らしいソロ。

パーヴォ率いるドイツカンマーフィルは室内楽と見紛うほどに見通しの良い演奏を披露してソロと絶妙に絡みつつ、いざトゥッティでは縦のエッジを効かせて(しかしけして過剰ではない)ソロとの対比を出しています。つくづくナイス。

流麗一辺倒だとこの曲の第一楽章なんかは飽きちゃうんですが、緊張感が途切れずに全曲一挙に聴きとおせます。

古楽路線で統一するでも現代楽器路線に集約するでもなく、オケとソリストがそれぞれ持ち味を出し合った感が爽快です。

ロンドン響を起用してのブリテンはこの曲のファーストチョイスになるべき素晴らしいパフォーマンス。ちょっと前に出たツィマーマン盤も良かったですが、この演奏はそれを忘れさせるくらい鮮烈。オケの充実度が段違い。

パリ管も結構ですが、パーヴォとロンドン響なんか最高のパートナーだと思いますな~。

2009/10/05

【CD聴くべ】ゲ・ガンリュ弦楽四重奏曲集+α

352






ゲ・ガンリュ:
・弦楽四重奏曲第1番『賦』
・弦楽四重奏曲第4番『天使の組曲』(小天使/小人の舞曲/祈祷/天使の行進曲)
・弦楽四重奏曲第5番『バグダード陥落』(深い淵/天上の音楽/孤独)

 モダーン・ワークス
  吉岡愛理(第1ヴァイオリン)
  福原真由紀(第2ヴァイオリン)
  ヴェロニカ・サラス(ヴィオラ)
  メデリーネ・シャピロ(チェロ)

 録音時期:2008年5月12-14日
 録音場所:トロント、聖アンネ教会
 録音方式:デジタル(セッション)

 

ゲ・ガンリュ(Ge Gan-Ru)は1954年生まれ。米国在住、中国初の前衛作曲家とのこと。

いや~こういう惹句に弱いんですよねー(笑)。

さっそくNAXOS MUSIC LIBRARYでちょこっと視聴し、面白そうだったのでタワレコポインツ使って購入してみました。

微分音やグリッサンドなど偏愛する手法が結構明確で、掴みどころのないなんとなく現代音楽作曲家って感じでなく「オッス!オラ、ガンリュ!」的にキャラが立ってます。

結構好きな雰囲気を持つ作曲家です。中国人作曲家として知名度のある後輩タン・ドゥンなんかよりもイイ意味で真面目で聴かせます。

俄然興味が沸いたのでNAXOS MUSIC LIBRARYにあった管弦楽曲集も聴いてみました。

http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1509

こっちは弦楽四重奏曲よりもずっと聴きやすい。

それに、なんか一口に前衛というより、後期ロマン派から、印象派、前衛、米国の実験音楽etc..といった課題を次々消化していく、遅れてきた開拓者のパワーを感じます。

世代的にはそんなに古い人ではないですけど、どこの国の作曲家にもこういう位置付けの作曲家っているんだなぁという感慨。彼らはパワフルだから結構聴かせるんですよね~。


ドビュッシーとストラヴィンスキーとヴァレーズとルトスワフスキがぶつかった感じの「中国狂詩曲」。1990年代はじめころの作品。

「Wu」ではマーガレット・レン・タンがピアノ(内部奏法と一部プリペアドもされてんのかなコレ?)で参加して、「中国狂詩曲」の要素に実験音楽ぽさも加味。まー「中国狂詩曲」と続けて聴いちゃうとちょっと飽きるなー。宿題こなしましたって感じがより強くなっちゃってるような・・・。作曲年代は 1980年代らしい。

しかし一転「Six Pentatonic Tunes」はかなりエンターテインメントなオーケストラピース。オーケストレーションも巧い。前衛さはまったくといっていいほどないですが、どうやら作曲年代は一番新しいらしい。

あ、作曲年代が新しいからこそ前衛感がないのか・・・。

これだけ聴いたら中国のプロコフィエフとかバーンスタインとかって勢い。モダンでカッコイイ響きです。

2009/09/19

【CD聴くべ】大友良英「白洲次郎」o.s.t.

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大友良英 NHKドラマスペシャル「白洲次郎」オリジナル・サウンドトラック(EMI)

1. 白洲次郎 メインテーマ1(大友良英オールスターズ feat.菊地成孔)
2. 疾走(白州次郎プロジェクト・スペシャル・バンド)
3. ソルジャー(フレッド・フリス)
4. シーザス・ラヴズ・ミー(ローレン・ニュートン+白州次郎スペシャル・オーケストラ)
5. 次郎の流儀1(サルガヴォ)
6. 恭倹(サルガヴォ)
7. 次郎の流儀2(大友良英ジャズ・アンサンブル)
8. 白洲次郎 メインテーマ2(サルガヴォ)
9. 疾風(大友良英オールスターズ)
10. 戦場(白州次郎プロジェクト・スペシャル・バンド)
11. 白洲次郎 メインテーマ3(大友良英オーケストラ feat.佐々木史郎)
12. 白洲正子のテーマ(サルガヴォ)
13. 武相荘のテーマ(大友良英オーケストラ)
14. マッカーサー(白州次郎プロジェクト・スペシャル・バンド)
15. 正子と次郎(サルカヴォ)
16. しゃれこうべと大砲(浜田真理子)
17. 時代は動く(大友良英オールスターズ)
18. バラード(大友良英ジャズ・アンサンブル feat.菊地成孔)
19. 青山二郎(サルガヴォ)
20. からたちの花(カヒミ・カリィ/大友良英)
21. 白洲次郎 メインテーマ4(大友良英オーケストラ feat.江藤直子)


延期されていたドラマ「白洲次郎」の放送日が来週早々のようです。楽しみですわい。

引越して、いまはハイヴィジョンで録画出来るようになったし、延期されてちょうど良かったかも(^^;)。

さて、ネットでは先行配信販売されていた模様のNHKドラマ「白洲次郎」のサントラ。KDMはCD版をゲット。

「blue」しかり「風花」しかり「カナリア」しかり、大友さんのサントラは日常的に愛聴してますが今回のは殊更バラエティに富む内容で満足度たかし。たかたかし。

人脈に基づく素敵音楽が惜しげもなく投入され、曲ごとに表情を変え、キャッチーでもあり、かっこいいサントラです。

そして、このジャケット!かっこよすぎでしょ~!まぢで!


言うまでもなく映画のテーマや映像そのものやクライアントとの関係性という、明示された他者の存在がサントラの面白さでもありまして、クライアントの要求を満足させつつ、自らの意思や挑戦的な回答やノイズを混入させて仕上げられている感が堪りません。

これすなわちアンサンブルですね。


何よりこのサントラに関しては、なんといっても破壊力抜群の挿入歌たちのすごさ!

とくに浜田真理子さん「しゃれこうべと大砲」なんて涙腺直撃。この歌詞にこの間奏は泣きます。くぅっ。

それからNHKのドラマを観ていたときも思ったけど、大友良英・ウィズ・ストリングスというアルバムはいつか是非実現してほすぃ。

あの硬質なギターとターンテーブルにストリングスってのはかなり楽しげな匂いを感じる・・・。

(そういう妄想上の名盤としては、大友良英+Sachiko M+歌い手というのもずっと妄想して楽しんでいますが(←?)。)


てか、最近ライヴに行けてないわけですが、ピアノ弾いたり歌ったりもしているらしいですね、大友さん・・・。想像つかない・・・(ー_ー;)

2009/09/05

【CD聴くべ】スッペ序曲集(メータ盤)

808







スッペ:序曲集
・詩人と農夫
・タンタルスの苦悩
・怪盗団
・美しいガラテア
・スペードの女王
・軽騎兵
・ウィーンの歓喜
・ウィーンの朝、昼、晩
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ズービン・メータ(指揮)

男は黙ってスッペ。

軽騎兵序曲を背中で振れるくらいにならないと一流とはいえないといえよう。

嘘ですが。


指揮者がキャリアを積み自身の芸を深めたところで満を持してスッペ序曲集を世に問う、という時代が早く来ればいいのにと思っているKDMですが、実際は「マエストロ・メータとウィーンフィルがセッションでスッペ序曲集録音」なーんて企画がまかり通っていたのはもはや20年前。

こんな時代に誰がした!神は死んだ!


というわけで(どういうわけさ)、メータのスッペ録音が土を捲き上げ重ねて来たるかのように復活です。

最高だぜ・・・。

メータという人は、基本的にクラオタからバカにされてる指揮者ですけど(笑)、優秀なオーケストラを前にして区区たる指示など要らぬ。ただ思い切り演奏せよ。という音楽性が、ウィーンフィルによるスッペという魅力に掉さすものとなっております。お国ものだしね。
(とはいえ「何もしてないような演奏」というのは、ほんとに何もしてない指揮者のもとでは実現しないのですけども)


よし。もうレコード俺アカデミー賞あげよう。

はい、どうぞ!(--)⊃ 最優秀

2009/06/07

【CD聴くべ】ブルックナー交響曲第5番(YSO LIVE)

019






ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調(原典版)
 山形交響楽団
 飯森範親(指揮)

 録音時期:2009年1月20-21日
 録音場所:山形テルサ
 録音方式:DSDレコーディング(セッション)

 SACD Hybrid
 2ch HQ (CD STEREO/ SACD STEREO)

ブルックナー祭(ブさい)第三夜。

飯森親範指揮山形交響楽団によるYSO LIVEシリーズ。今回はブルックナー交響曲第5番。

ちなみにすべてセッション録音です。レコ芸の記述に間違いがありましたが、YSO LIVEつってセッション録音が出てくりゃ、そりゃまー誤解しちゃうよな。

ライヴ収録した音に問題があって、リカバリ用録音の予備日で全部録り直したのかな??


てか、そういうこと出来んなら毎回そうして欲しい(笑)。ライヴで揉んだ演奏曲目を、熱いうちにセッション録音する、という流れが記録的にもベストだと思うべなー。


演奏は、大編成音響で聴くブル5の、あの壁のような音圧がまったくなく、期待値をそこに設定すると全然違う曲に聴こえちゃうくらいに異質。

通常編成の演奏に比べてダイナミックレンジが狭く、メリハリはあまりない。ピッチの合い具合が半端ねー!という類のオケでもないし、全編にわたり透明感よりも素朴な滋味みたいな聴後感でした。60年代古楽器導入前ハイドン風ってゆうか?(^^;)

演奏会の惹句は「樹氷に響く天空のコラール」だったそうですが、その語感のキンとクールで透徹して広々とした空間性のイメージよりも、さくらんぼ採ったり蕎麦をすすったり温泉入って和みながら、ズーズー弁の中で日々がんばってる感じの方が合ってる気がします(どんなイメージだよ)。

地味な演奏であることは間違いないのですが、テンパってるとこも含め弦も木管もよく聴こえて、アバドやスクロヴァチェフスキーが何故か強調したコーダのピッコロだかフルートだかもうっすら聴こえてくるほど(ヘッドフォンならね。かすかにね)。

金管含め突出した個に全体が引きずられることなく、抑制と集中が効いていて聴きづらさもさほどなく、山響サポーターとしては満足気。モンテディオのサッカーかよって。

それにつけても、小編成オケでのブルックナーは良いな~。ライナーノーツでは6番以前の曲を継続して取り上げたいと飯森さんは仰っているらしいです。7番以降も、管にトラ呼ぶレベルで実現出来たりしないもんかな・・・(さすがに難しいか)。

YSO LIVEも第4段。なかなか順調なペースと言えるかも。こうなると客演指揮者の阪哲朗氏や指揮回数の多い工藤俊幸氏などの録音もぜひ実現してほしいところです。

【CD聴くべ】ブルックナー交響曲第9番(P・ヤルヴィ盤)

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ブルックナー:
交響曲第9番ニ短調
(B=G.コールス校訂ブルックナー協会版クリティカル・エディション[2000年])
 フランクフルト放送交響楽団
 パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
録音:2008年2月27日~29日アルテオーパー、フランクフルト(ライヴ)
 ハイブリッドSACD
 CD 2.0ch./ SACD 2.0ch./ SACD 5.1ch.

ブルックナー祭(ブさい)第二夜。

パーヴォのブルックナーチクルス第2段。

前作の7番よりもパーヴォ・ヤルヴィの音楽作りに合っているように思えます。なんかノってきた感じするな~。
(単にKDMのブル7への共感が薄いだけ、ともいえるかもしれませんけどね。HAHA!)

フランクフルト放送響(hr響)は基本的にうまいのにどこか甘さも見えてしまうオケで、それが長所にも欠点にも聴こえる気がします。まー、具体的にどこというよりは印象論なんですけどね。

そのある種ルーズさが7番ではライヴ録音の瑕疵として、9番では厳しい曲相とあっているのかライヴの迫力や勢いとして、KDMには聴こえてきました。

ゆっくり目のテンポで描く両端楽章なんか結構チャレンジしてる演奏になっていて管楽器が時折ズバーッとバランスを突き破って轟く。

そしてスケルツォは楽器ごとに微妙に表情の濃淡を使い分け、さらにはソロを浮き立たせ、複層的・重層的なリズムを作ったエイキサイティングな内容。これぞパーヴォ節って感じ。

hr響のぞわぞわした音色含め、ちょっとマーラーに接近しているような・・・。

とはいえやはり、今回は同時期に出たケント・ナガノのロマンティック録音のバイエルン国立管弦楽団が素晴らし過ぎたこともあって、ほんのちょっとだけ魅力に陰りを感じてしまったのも事実。hr響は演奏者個々レベルのちょっとした細部の詰めに、甘さを感じてしまいます。

録音の面でもナガノ盤より落ちる気がします。ちょっちかさついてる感じ。

パーヴォファンとしては十分満足なレベルではあり、一般的に言って普通に巧い演奏なんで、あえて比較すればって話なんですが・・・。


パーヴォはシンシナティ交響楽団、エストニア国立管弦楽団、フランクフルト放送交響楽団などで録音活動を行っていますが、そろそろ、もう半歩だけ基礎力が高いオケとの録音も望みたくなってきました(ドイツ・カンマーフィルだけはやや異質かな)。

パリ管のポストは決定しているものの、どうなるか。。。最近のパリ管って録音もライヴも聴いたことないからな~。

2009/06/06

【CD聴くべ】ブルックナー交響曲第4番(ナガノ盤)

312






ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1874年第1稿)
 バイエルン国立歌劇場管弦楽団(国立管弦楽団)
 ケント・ナガノ(指揮)

 録音:2007年9月、ミュンヘン
 DSDマスタリング
 SACD Hybrid
 SACD Multi 5.0ch/ SACD Stereo / CD Audio Stereo

ブルックナー祭(ブさい)第一夜。

ケント・ナガノのロマンティック初稿版。各所で絶賛されてますが、これはほんとに超名演。

ベルリン・ドイツ響との3番6番も良かったですが、今回の4番は実にあっさりと既録音以上の出来映え。こうなると初稿じゃない版も聴いてみたくなります。


なんてったってバイエルン国立管弦楽団が最高!びっくりしました。アンサンブル精度といい響きの透明感といい、抜群に素晴らしいです。

このベースがあればこそ「ロマンティク」初稿版という微妙な曲でも問題なく聴き通せて且つ感動まで持って行けたんだと思いますな。音楽においてどれだけ基礎が大事かって改めて思い知らされた感是あり。

初稿版は最終稿と比べると響きも薄くて、個々の演奏者同士の絡み合いや受け渡しが多い印象ですが、ほぼ完璧な演奏じゃないでしょうか、これ。惚れ惚れしちゃいます。

ここ最近CDでブルックナーを聴く機会が多かったんですが、バイエルン国立管弦楽団の音の印象が強すぎて、正直ほかが霞んでしまいました。

ナガノについていえば、ブルックナー演奏に関して故ギュンター・ヴァントの教えを請うたらしいですが、条件の整ったセッションということもあってか、師の北ドイツ放送oライヴなんかより100倍良い音(当人想像比)で鳴ってます。

このツィクルスがこのクオリティで継続されるたらすっげーことになりますねこりゃ。


ナガノはド派手な芸風でないので熱狂的フォロワー群をあまり見掛けませんが、ブラームス第4の録音とか、今回のロマンティックとか、たまに凄まじい名演を繰り出してくるから目が離せません。

今度はモントリオール響とのマーラー「大地の歌」の発売が控えているみたいです。楽しみ。
(そういやマーラー第8交響曲の録音持ってなかった・・。高かったし。そのうちほしいな。)

2009/04/19

【CD聴くべ】菊地成孔 南博「花と水」

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菊地成孔 南博「花と水」
(Ewe Records)

菊地成孔: Soprano & Tenor Sax
南博: Piano
斎藤ネコ: Strings Arrangement
金原千恵子: 1st Violin
グレート栄田: 2nd Violin
井野邉大輔: Viola
笠原あやの: Cello
Produced by 菊地成孔

1 即興の花と水(一) 菊地成孔 / 南博
2 Fall Wayne Shorter
3 即興の花と水(二) 菊地成孔 / 南博
4 作曲された花と水 菊地成孔
5 即興の花と水(三) 菊地成孔 / 南博
6 Blue In Green Miles Davis
7 即興の花と水(四) 菊地成孔 / 南博
8 オレンジ色は彼女の色 Charles Mingus
9 Lush Life Billy Strayhorn
10 即興の花と水(五) 菊地成孔 / 南博
11 You Must Believe In Spring Michel Legrand
12 即興の花と水(六) 菊地成孔 / 南博
13 チェンバロ協奏曲 第五番 ヘ短調 第ニ楽章: ラルゴ BWV.1056 J.S.Bach
14 即興の花と水(七) 菊地成孔 / 南博

ソプラノサックスとピアノによるデュオアルバム。一部弦楽四重奏入りというのがまた小憎たらしい程に美しい・・・。

即興が水で、スタンダードナンバーが花か。いずれも絶美。抑制の効いた即興ほど美しいと思わせるものはないですな。

形式はどうあれ、南博さんと菊地成孔さんが組んだアルバムに外れなしですね。ほんとに。

この一種異様なまでの美しさがフェイクジャパン、ジャポニズムと関連しているというのがなんだか物凄く得心がいきます。例によってうまく言葉には出来ませんが。
(というか菊地さんが関わる音楽については、本人が虚々実々の名文を大量生産しており、言葉の面からアプローチする余地は実際ほとんどないか、あるいはそう錯覚させるのですけど。)


「よしんば花を見るにしても、夕暮れの室内に限る」(&「外で行う花見ならば、ベルディやマーラーを大音量で流すのが良い」いずれも菊地さんのHPより)という、KDMなどからすれば全面的に賛同できる見識を、音楽面から補完する大名盤だと思います。

少なくとも、春ともなれば出るわ出るわ、桜か卒業なJ-POP。そういう我が国の躁状態へのアゲインストという側面もあるようです。梅もきらいよ桜もいやよももとももとのあいが良い・・・とは言わずともね。


ちなみにKDMは桜とフルトヴェングラーは近い存在です。それ自体に好きも嫌いも特に感じないし、たまに感動もしてみたりするが、それを称揚する人のことは結構嫌い、という点で(笑)。

てか、桜が散るとなんとなくホッとしません?


さて、このまま南博さんの自伝第2弾を読むぜ・・・。

2009/03/01

【CD聴くべ】チャイコフスキー「マンフレッド交響曲」(ヴァシリー・ペトレンコ盤)

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チャイコフスキー:
・マンフレッド交響曲
・交響的バラード『ヴォエヴォーダ』(ミツキェーヴィチのバラードによる)
 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴァシリー・ペトレンコ(指揮)

 録音:2007年6月(デジタル)


ドゥダメルに続き、またまたチャイコスキー。わーお。

たまたま面白い録音を聴いた時期が重なっただけだけど、なんだかクラシックばっか聴いてるように見えるな・・・。

いろいろ聴いてはいるけど、blogに載せられるくらいのテクストまでにはまとまらないってゆうか。


さてマンフレッド交響曲ですよ。

このCDを聴く前は、マンフレッド交響曲って以前友人と行ったN響のコンサートで一度聴いただけでした。

指揮者は誰だっけかな。失念。

そのときの印象は「アホな曲だね(笑)」というもの。

一緒に行ってたその友人(大学オケの同期)と、いちいち顔を見合せて苦笑してました。演奏も田舎くさかったし。

wikiとか読む限り、バーンスタインなんかはこの曲を毛嫌いしてたらしい旨書いてありましたが、それも仕方ないかなー、と思ってました。


しかし、NAXOSで出たこの演奏で聴く同曲はかなり良いのですよ。代表曲とまでは言わずとも、チャイコの名作のひとつ(自分の中でね)にカウントしても全然無問題な気がしてきました。

指揮は、30そこそこでロイヤル・リヴァプールpoの指揮者に就任していまに至るヴァシリー・ペトレンコ。

オケの特性もあるとはいえ、悪い意味でのロシアっぽさ(野暮ったい響き、ルースなバランス)を払拭しつつ、パワーと勢いは見事に獲得してます。

なんだかダラッとしはじめて、あーつまんない曲かも・・・と思わせる瞬間が到来しかけた刹那、対旋律副旋律がグッと出てきてみたり全体で歌わせてみたりソロを浮き立たせてみたりと、とにかく流れを作るのが巧いです。オケともども、細部に手抜きなし。

こういう洗練と力感を高いレベルで融合した演奏を聴くと、もうゲルギエフでさえ古臭く聴こえちゃいます。ひょーこえー。

音楽家の個性よりも、マンフレッドって超かっけーじゃん!と素直に感じさせる辺りの手腕にサンクトペテルブルグ新世代(←適当に言ってますけど)のバランス感覚を見る思いです。

併録の交響的バラード「地方長官」もめちゃめちゃ良い演奏。リズムも切れ切れ響きもスマートなんだけど、パワフル。


しかし、ツワモノ揃いの現場の音楽家たちや、玉石混交過ぎて別の意味で怖い評論家諸氏が跋扈するところの、海千山千のクラシック業界で頭角を現す若手というのは、ほんとに面白いです(ソキエフといい、このペトレンコといい・・・)。

ペトレンコに関しては、このマンフレッド交響曲と前後してリリースされたリストのピアノ協奏曲集もちょっとびっくりするくらいの名演でした。

近々ショスタコーヴィチの交響曲録音も出るみたいです。楽しみだべ~。

2009/02/11

【CD聴くベ】チャイコフスキーsym5ドゥダメル盤

妻が妊娠9ヶ月突入~。平日は帰りが遅いので、休日はなるべく予定を入れずに家さ居ます。てゆうか妻以上にぐぅたらしてますな。

週末は両親学級というのに行ってきます!ちゅらはっそ!

ではではCDでも聴こうかな、と。






069






チャイコフスキー:
・交響曲第5番ホ短調 作品64
・幻想曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』作品32
 ベネズエラ・シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ
 指揮:グスターボ・ドゥダメル
 録音:2008年1月、カラカス(ライヴ、デジタル)

ドゥダメル&SBYOとチャイコは似合うだろうとは思ってましたが、想像通りマッチ。そして想像以上マッチョ。

終楽章の序奏に続く第1主題。そのスピード感が物凄くて、車で一緒に聴いていた妻が興奮しておりました。

響きは中身がギュウギュウに詰まった感じ。カッチカチやぞ!ゾックゾクするやろ!と言わんばかりの筋肉質。

弦も管も通常よりも編成が大きいにも関わらず、逆にアンサンブルのズレは常日頃耳にする演奏よりも少ないぐらいで、こういう響きになっているの加茂。

響きの開放感はないから明晰さや透明感には不足する面もあるのですが、個々のパートが俺も私も!と主張してくるのが面白い。

録音全体の質感の割りに、意外といろんな音が聴こえる演奏でもあります。

まー、アマオケ時代の印象からいっても、チャイコって練習すればするほど結果に繋がり易い作曲家のひとりです(繋がりづらいのはブラームスとかリストとかね)。

噂に聞くとSBYOはかなり練習量があるオケらしいので、それが如実に音として現れている気がします。ほんとに見事ですわ。


思えば、一曲を練りに練り上げてくる吹奏楽コンクールとかアマオケの定演なんかでも、こういう質感を聴くことがある気がします。

プロオケの団員ともなれば演奏している曲目の全体像もよく理解しているし、メロディと伴奏とか、主旋律と対旋律とか、内声とか、全体から逆算される自分の役割が整理された時点から演奏行為が出発すると思います。

それがアマオケ団員やSBYOメンバにとっては、個々の役割の整理よりもまずスコア(もっと言えばパート譜)に書かれたことを全うすることから出発しているのではないでしょうかね。

実際アマオケで演奏していると、聴きなれた曲が(とくにミスもなく)譜面通りに演奏されているはずなのに「あれ?この曲にこんな部分あったっけ?」と感じることがあるのですが、パート譜にかじりついて自分の演奏をなんとか全うしようとする余裕のなさ(KYというかなんというか・笑)が、全体に統合しきれない剥き出しの「部分」を露わにしてしまうのだと思います。

巷間「アマチュアらしい」などと言われ称揚されるある種の迫力は、全体が先か部分が先かという、そのプライオリティの差に起因するのではないでしょうか。

少なくとも、アマオケの演奏がある種「熱い」のは、全員が一丸となっているから、ではなくむしろ、一丸になりきれない音(部分)の群れがぶつかり合うからでありましょう。


もっともSBYOの演奏は、ドゥダメルの指導力もあってか「部分」だけがぶつかり合ってダサい演奏になるなんてことはまったくありません。

それでも全体としてまとまっていると同時に、まとまりきれない「部分」がモリモリ湧き出るように聴こえてきます。「フランチェスカ・ダ・リミニ」はとくに顕著にそう感じましたね。

熱い、です。

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